編集後記

「栄光を全地に輝かせてください」(詩57:6)
ウンブリアの州都ペルージア

撮影 : 雨宮 慧

ゼーヘル 復活節第6主日号 編集後記より

▼三日目の午後は自由行動になりましたが、アッシジからバスで30分ほどの街ペルージアに行きました。ペルージアは私にとって忘れることのできない街です。もう二十五年前のことになりますが、二ヶ月ほどイタリア語を勉強したからです。
▼歩きながら食べるジェラートの美味しさを知ったのも、パイプオルガンの体を揺さぶるような響きを体験したのもこの街が最初でした。しかし、中でも忘れられないのは、二ヶ月の間、下宿させていただいたシニョリーナ・アウグスタです。彼女は70をすぎた独身のおばーちゃんで、毎日、夕方のミサに着替えて教会に行く熱心な方でした。
▼ある朝、教会からの帰り、道の両側の家々からボリュームを上げたラジオの音が聞こえてきました。いつもと違うと思いながら、下宿の戸を開けると、アウグスタが泣きながら、「パパが死んだ」と告げました。教皇パウロ六世が亡くなった日だったのです。
▼アウグスタの涙をもう一度目にしました。ローマでの勉強を終え日本に戻る前に挨拶に行きましたが、別れ際に目に涙を浮かべて、「もう会えないね」といいました。きっと天国で大好きな教皇様の近くにいることでしょう。(雨宮)

BGM : Choral-Vorspiel

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