編集後記

 

ゼーヘル キリストの聖体号 編集後記より

▼3月18日はアレッツォーからバスで一時間の町セポルクロに行きました。ピエロ・デッラ・フランチェスカが描いた「復活のイエス」を見るためです。
▼石棺の縁に片足を載せ、勝利の旗を右手にして立つイエスに出会えるぞと美術館に向かった私の目に飛び込んできたのは、扉に貼られた「本日はショペロ(=スト)のため休館」という張り紙でした。仕方なく、ピザとワイン、そして店の主人が気の毒がって出してくれたジェラートを食べ、バスと汽車を乗り継いでフィレンツェに戻りました。
▼翌日は気を取り直して、ピサに行きました。ピサといえば斜塔ですが、斜塔やドゥオーモや洗礼堂が建ち並ぶ広大な広場の一画にカンポサント(墓地)があります(左の写真)。ここには「死の勝利」と名づけられた壁画か残されています。連合軍の砲撃により、かなり傷んでいますが、その迫力に驚きました。
▼二時間ほどすごして広場に出ると、閑散としたカンポサントとは違い、春の柔らかな日差しを楽しむ家族連れや観光客で広場は大賑わいでした。人生を楽しむのも大切ですが、死を忘れるわけにもゆきません。「死の勝利」を描いた人々は、それを我々に思い起こさせたかったのかもしれません。 (雨宮)

あなたはわたしを塵と死の中に打ち捨てられる(詩22:16)
ピサのカンポサント(撮影 雨宮)

BGM : Beloved Christians by BUXTEHUDE, Dietrich

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