編集後記

 

ゼーヘル 年間第10主日 編集後記より

▼3月20日の朝、フィレンツェを発ちシエナに向かいました。シエナは13―14世紀にかけてフィレンツェと覇を競うほどに栄えた町ですから、見るべきものはたくさんあります。特に有名なのはカンポ広場かもしれません。
▼左の写真はドゥオーモ付属美術館の屋上から撮ったカンポ広場です。右の塔がマンジャの塔であり、その建物が現在でも市庁舎や市立美術館として使われている宮殿です。カンポ広場は穏やかな傾斜を持った扇形の広場であり、その要の位置に宮殿の入り口があります。
▼広場は大勢の人々でにぎわっていましたが、今回の目的はシエナ派と呼ばれる画家の絵を見ることでしたから、まっすぐ市立美術館に入りました。見たかったのはシモーネ・マルティーニの「荘厳の聖母」です。実物は広間の壁全体を覆うほどの大きさであり、優雅で品格のある聖母子に、思わず見とれました。
▼次にドゥオーモ付属美術館でドゥッチョの「荘厳の聖母」を見ました。これは14世紀初頭に描かれ、ビザンチンのモザイク画の影響を強く受けているようが、素人目には荘厳で好感が持てます。そこを出て、町の人に教えてもらったノンナジーナ(ジーナ婆ちゃん)で食事を取りましたが、名前どおりに家庭的でおいしいトラットリアでした。(雨宮)

わたしたちの都の広場には
  破れも捕囚も叫び声もない(詩144:14)
シエナのカンポ広場(撮影 雨宮)

BGM : Concerto Grosso in G by CORELLI, Arcangelo

 Close