編集後記

 

ゼーヘル 年間第12主日 編集後記より

▼先週号に載せた写真はナポリの国立考古学博物館に展示されているモザイク画で、二羽の鶏の闘鶏とも見える図柄ですが、ポンペイの遺跡から発掘されたものです。実に洒落ていて、当時の人たちの趣味をうかがわせる作品です。
▼ポンペイはワインやオリーブ油の生産で経済発展を遂げ、紀元前2世紀には公共施設や大邸宅が建設されました。しかし、紀元後79年の8月24日に突然襲ったヴェスビオ火山の爆発で埋もれてしまいました。円形競技場や共同浴場、居酒屋にパン屋など現在と変わりない日常生活をほうふつとさせる遺跡です。左に掲載したのはその大通りを撮った写真です。
▼ポンペイはナポリの25キロほど東に位置しますが、ナポリの14キロほど北にはポッツオーリという港があります。聖書ではプテオリという名前で登場し(使二八13)、ローマに護送されるパウロが59年ごろに上陸した港町です。
▼パウロはポンペイを知らなかったでしょうが、彼が目にしたイタリアの町は多かれ少なかれ、ポンペイのように快適な生活を楽しむ町であったはずです。そこに神の言葉を伝えようとしたパウロが迫害され、殉教したのも当然かもしれません。(雨宮)

まっすぐにあなたの道を歩ませてください(詩5:9)
ポンペイの街路(撮影 雨宮)

BGM : Sinfonia(II) by BUXTEHUDE, Dietrich

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