編集後記

 

ゼーヘル 年間第13主日 編集後記より

▼4月2日の夜、シチリアの州都パレルモに着くと、テレビは教皇さまの死を伝えていました。翌朝は隣の町モンレアーレのドゥオーモ(大聖堂)の脇祭壇で追悼ミサをささげることで一日を始めました。
▼12世紀に建てられたこの大聖堂は聖書を題材とするモザイクで飾られ、特に正面のキリストの像は堂々たる威厳をたたえた見事な作品でした。午後はパレルモ市内を巡り歩きました。左の写真はサン・ジョヴァンニ・デッリ・エレミティ教会の中庭のキオストロ(回廊)を撮ったものです。
▼シチリアは「地中海の十字路」と呼ばれように、フェニキアにはじまり、ローマ、ビザンチン、アラブ、ノルマンなどさまざまな民族の支配をくぐり抜けてきました。このエレミティ教会はアラブ・ノルマン時代の華やかさをしのばせる造りだと言われますが、小雨が降る寒い天候の中では、せっかくの南国風情もだいなしです。
▼日本は他民族支配を経験していないからでしょう、異質な要素が混在する文化には慣れていません。パレルモの建物は確かに華やかです。しかし、どこか居心地の悪さを覚えたのは天候だけのせいではないと思います。(雨宮)

ときが巡り来れば実を結び
葉もしおれることがない(詩1:3)
エレミティ教会の中庭(撮影 雨宮)

BGM : Qui Mariam by VALLOTTI, Francesco Antonio 

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