編集後記

 

ゼーヘル 年間第17主日 編集後記より

▼タオルミーナを離れ、高速道路を南下したバスは一時間ちょっとでシラクーサに到着しました。1953年に起こった奇跡を記念して建てられたマドンナ・デッレ・ラクリメを訪ねてから、昼食後にネアポリ考古学公園に行きました。
▼この公園には天国の石切り場と呼ばれる場所があり、そこにカラヴァッジオが命名したというディオニュシオスの耳があります。この公園を出て、橋を渡って、オルディジア島に入りました。使徒言行録28章12節によると、マルタ島を出たパウロはシラクーサに三日間泊まり、ナポリに発ったとされています。
▼この島は現在でもマルタ航路のための港になっていますから、パウロもこの島に寄航したと思われます。左の写真は島の波際で遊ぶ幼い兄弟を撮ったものです。パウロもこの海を見たでしょうが、ローマに目が向かっていた彼には何の感慨も引き起こさなかったかもしれません。使徒言行録はこの三日間にどんな出来事があったかひと言も語っていません。
▼そういえば、パウロは旅情といった個人的な思いをまったく書かないように思います。神の言葉を地の果てまで運ぶことに懸命だったのでしょうか。(雨宮)

彼らは波が静まったので喜び祝い(詩107:30)
シラクーサの海辺(撮影 雨宮)

BGM : Passing By by PURCELL, Edward

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