編集後記

 

ゼーヘル 年間第21主日 編集後記より


▼使徒言行録27章以降には、パウロをローマに連行する船旅の模様が描かれています。クレタ島を出た船はひどい暴風に遭遇し、十四日間も漂流した果てにやっと島にたどり着きましたが、それがマルタ島でした。
▼4月8日はその漂着地点を訪問することから始まりました。その場所はヴァレッタから西の方向に十数キロほど行ったところにありますが、道中の半分は海沿いを走ることになります。天気がやっと回復し、太陽の光を反射させる海は「こうでなくては」と叫びたくなるほどでした。
▼漂着地点は小さな島であり、そこに渡ることはできませんから、対岸から望み見ることしかできません(左の写真を参照)。島の形はまるで円盤のようですが、その中央に十字架が立つことを除けば何もない裸の島です。さびしい島と言えますが、十四日間の漂流のあとにたどりついたことを考えると、かえってふさわしい島のように思えます。
▼本島に渡ったパウロは蝮にかまれますが、何の異変も起こらなかったので、島の人々は「この人は神様だ」と言って驚きました。パウロは冬が終わるまでの三か月をマルタ島で過ごしています。(雨宮)

苦難の中から主に助けを求めて叫ぶと(詩107:6)
パウロが流れ着いた島(撮影 雨宮)

BGM : Study in B minor by HOLCOMBE, Henry

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