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A・四旬・3

aioon
  アイオーン
    時代・世代・世


「時代、世代」
(1)非常に長い時間、永遠
(α)過ぎ去った時代に使われる。「過去、最古の時代」、さらに「永遠」
(a)前置詞アポ〈から〉の目的語として、「昔から」
▼ルカ一70 【昔】から聖なる預言者たちの口を通して
     語られたとおりに。
▼使三21 このイエスは、神が聖なる預言者たちの口を通して【昔】から語られた、万物が新しくなるその時まで、必ず天にとどまることになっています。
▼使一五17ー18 それは、人々のうちの残った者    や、
      わたしの名で呼ばれる異邦人が皆、
      主を求めるようになるためだ。」
      【昔】から知らされていたことを行う主は、
        こう言われる。』
(b)前置詞プロ〈前に〉の目的語として、「時が始まる前に」
▼ユダ25a わたしたちの救い主である唯一の神に、わたしたちの主イエス・キリストを通して、栄光、威厳、力、権威が【永遠の昔】から、今も、【永遠にいつまでも】ありますように、アーメン。
  直訳ー「[すべての]世[から]…[すべての]世々[まで]」
▼1コリ二7 わたしたちが語るのは、隠されていた、神秘としての神の知恵であり、神がわたしたちに栄光を与えるために、【世界】の始まる前から定めておられたものです。
   (動詞ヒュパルコー〈存在している〉の現在分詞と共に用いられて、「時が始まる前から存在している神」)
(c)前置詞エク〈から〉の目的語として、「始めから」
▼ディダケー一六4
▼ヨハ九32 生まれつき目が見えなかった者の目を開けた人がいるということなど、【これまで一度も】聞いたことがありません。直訳ー「永遠[から]」
(β)これから来る時代に使われる。もしその時代に終わりがなければ、これも「永遠」と見なされる(ギリシャ語文献ではかなり一般的)
(イ)単数形
(a)前置詞エイスの目的語として、「無限に、永遠に、永久に」
[生きる]
▼ヨハ六51 わたしは、天から降って来た生きたパンである。このパンを食べるならば、その人は【永遠】に生きる。わたしが与えるパンとは、世を生かすためのわたしの肉のことである。」
▼ヨハ六58 これは天から降って来たパンである。先祖が食べたのに死んでしまったようなものとは違う。このパンを食べる者は【永遠】に生きる。」
▼バルナバの手紙六3
[留まる]
▼ヨハ八35ab 奴隷は家に【いつまでも】いるわけにはいかないが、子は【いつまでも】いる。
▼ヨハ一二34 すると、群衆は言葉を返した。「わたしたちは律法によって、メシアは【永遠】にいつもおられると聞いていました。それなのに、人の子は上げられなければならない、とどうして言われるのですか。その『人の子』とはだれのことですか。」
▼1ペト一25 しかし、主の言葉は【永遠】に変わることがない。」これこそ、あなたがたに福音として告げ知らされた言葉なのです。
▼1ヨハ二17 世も世にある欲も、過ぎ去って行きます。しかし、神の御心を行う人は【永遠】に生き続けます。
▼2ヨハ二 それは、いつもわたしたちの内にある真理によることで、真理は【永遠】にわたしたちと共にあります。
▽2コリ九9 「彼は惜しみなく分け与え、貧しい人に施した。彼の慈しみは【永遠】に続く」と書いてあるとおりです。
▽ヘブ七24 しかし、イエスは【永遠】に生きているので、変わることのない祭司職を持っておられるのです。
[誰かと共にいる]
▼ヨハ一四16 わたしは父にお願いしよう。父は別の弁護者を遣わして、【永遠】にあなたがたと一緒にいるようにしてくださる。
[否定詞と共に使われ、「決して…ない、まったく…ない、二度と…ない」]
▼マタ二一19 道端にいちじくの木があるのを見て、近寄られたが、葉のほかは何もなかった。そこで、「今から後【いつまでも】、お前には実がならないように」と言われると、いちじくの木はたちまち枯れてしまった。
▼マコ三29 しかし、聖霊を冒涜する者は【永遠】に赦されず、永遠に罪の責めを負う。」
▼マコ一一14 イエスはその木に向かって、「今から後【いつまでも】、お前から実を食べる者がないように」と言われた。弟子たちはこれを聞いていた。
▼1コリ八13 それだから、食物のことがわたしの兄弟をつまずかせるくらいなら、兄弟をつまずかせないために、わたしは【今後決して】肉を口にしません。
▽ヨハ四14 しかし、わたしが与える水を飲む者は【決して】渇かない。わたしが与える水はその人の内で泉となり、永遠の命に至る水がわき出る。」
▽ヨハ八51 はっきり言っておく。わたしの言葉を守るなら、その人は【決して】死ぬことがない。」
▽ヨハ八52 ユダヤ人たちは言った。「あなたが悪霊に取りつかれていることが、今はっきりした。アブラハムは死んだし、預言者たちも死んだ。ところが、あなたは、『わたしの言葉を守るなら、その人は【決して】死を味わうことがない』と言う。
▽ヨハ十28 わたしは彼らに永遠の命を与える。彼らは【決して】滅びず、だれも彼らをわたしの手から奪うことはできない。
▽ヨハ一一26 生きていてわたしを信じる者はだれも、【決して】死ぬことはない。このことを信じるか。」
▽ヨハ一三8 ペトロが、「わたしの足など、【決して】洗わないでください」と言うと、イエスは、「もしわたしがあなたを洗わないなら、あなたはわたしと何のかかわりもないことになる」と答えられた。
[永遠の祭司]
▽ヘブ五6 また、神は他の個所で、「あなたこそ【永遠】に、メルキゼデクと同じような祭司である」と言われています。
▽ヘブ六20 イエスは、わたしたちのために先駆者としてそこへ入って行き、【永遠】にメルキゼデクと同じような大祭司となられたのです。
▽ヘブ七17 なぜなら、「あなたこそ【永遠】に、メルキゼデクと同じような祭司である」と証しされているからです。
▽ヘブ七21 この方は、誓いによって祭司となられたのです。神はこの方に対してこう言われました。「主はこう誓われ、その御心を変えられることはない。『あなたこそ、【永遠】に祭司である。』」
▽ヘブ七28 律法は弱さを持った人間を大祭司に任命しますが、律法の後になされた誓いの御言葉は、【永遠】に完全な者とされておられる御子を大祭司としたのです。
[永遠に]
▽2ペト三18 わたしたちの主、救い主イエス・キリストの恵みと知識において、成長しなさい。このイエス・キリストに、今も、また【永遠】に栄光がありますように、アーメン。
直訳ー「世の[日にわたって]」
▽ユダ一三 わが身の恥を泡に吹き出す海の荒波、【永遠】に暗闇が待ちもうける迷い星です。
▽ルカ一55 わたしたちの先祖におっしゃったとおり、
    アブラハムとその子孫に対して【とこしえに】。
(b)準前置詞ヘオース〈まで〉の目的語として、「永遠に」
▼1クレメンス十4
▼ヘルマスの牧者第二の幻三3
▼ヘルマスの牧者第九のたとえ二四4
(c)前置詞エイスの後に対格形と属格形で二度アイオ−ンを繰り返えした強調形で、「永遠に」
▼ヘブ一8 一方、御子に向かっては、こう言われました。「神よ、あなたの玉座は【永遠に続き】、また、公正の笏が御国の笏である。
直訳ー「世の世[にわたって]」
(ロ)複数形も用いられる(特に頌栄において)
(a)前置詞エイスの目的語として、「永遠に」
▼ルカ一33 彼は【永遠に】ヤコブの家を治め、その支配は終わることがない。」
▼ヘブ一三8 イエス・キリストは、きのうも今日も、また【永遠】に変わることのない方です。
▼ユダ二五b わたしたちの救い主である唯一の神に、わたしたちの主イエス・キリストを通して、栄光、威厳、力、権威が【永遠の昔】から、今も、【永遠にいつまでも】ありますように、アーメン。
   直訳ー「[すべての]世[から]…[すべての]世々[まで]」
(b)前置詞エイスの目的語として使われるが、この前置詞句の前に形容詞エウロゲートス〈ほめたたえるべき〉や名詞ドクサ〈栄光〉が置かれる
▼ロマ一25 神の真理を偽りに替え、造り主の代わりに造られた物を拝んでこれに仕えたのです。造り主こそ、【永遠】にほめたたえられるべき方です、アーメン。
▼ロマ九5 先祖たちも彼らのものであり、肉によればキリストも彼らから出られたのです。キリストは、万物の上におられる、【永遠】にほめたたえられる神、アーメン。
▼2コリ一一31 主イエスの父である神、【永遠】にほめたたえられるべき方は、わたしが偽りを言っていないことをご存じです。
▼ロマ一一36 すべてのものは、神から出て、神によって保たれ、神に向かっているのです。栄光が神に【永遠】にありますように、アーメン。
(c)前置詞エイスの後で、対格形と属格形で二度アイオ−ン(複数形)を繰り返えした強調形で、「世々の世々にわたって」(頌栄に用いられる)
▼ロマ一六27 この知恵ある唯一の神に、イエス・キリストを通して栄光が【世々限りなく】ありますように、アーメン。
▼ガラ一5 わたしたちの神であり父である方に【世々限りなく】栄光がありますように、アーメン。
▼フィリ四20 わたしたちの父である神に、栄光が【世々限りなく】ありますように、アーメン。
▼1テモ一17 【永遠の】王、不滅で目に見えない唯一の神に、誉れと栄光が【世々限りなく】ありますように、アーメン。
▼2テモ四18 主はわたしをすべての悪い業から助け出し、天にある御自分の国へ救い入れてくださいます。主に栄光が【世々限りなく】ありますように、アーメン。
▼ヘブ一三21 御心に適うことをイエス・キリストによってわたしたちにしてくださり、御心を行うために、すべての良いものをあなたがたに備えてくださるように。栄光が【世々限りなく】キリストにありますように、アーメン。
▼1ペト四11 語る者は、神の言葉を語るにふさわしく語りなさい。奉仕をする人は、神がお与えになった力に応じて奉仕しなさい。それは、すべてのことにおいて、イエス・キリストを通して、神が栄光をお受けになるためです。栄光と力とが、【世々限りなく】神にありますように、アーメン。
▼1ペト五11 力が【世々限りなく】神にありますように、アーメン。
▼1クレメンス二〇12
▼1クレメンス三二4
▼1クレメンス三八4
▼1クレメンス四三6
▼黙一6 わたしたちを王とし、御自身の父である神に仕える祭司としてくださった方に、栄光と力が【世々限りなく】ありますように、アーメン。
▼黙五13 また、わたしは、天と地と地の下と海にいるすべての被造物、そして、そこにいるあらゆるものがこう言うのを聞いた。「玉座に座っておられる方と小羊とに、賛美、誉れ、栄光、そして権力が、【世々限りなく】ありますように。」
▼黙七12 こう言った。「アーメン。賛美、栄光、知恵、感謝、誉れ、力、威力が、【世々限りなく】わたしたちの神にありますように、アーメン。」
▼エフェ三21 教会により、また、キリスト・イエスによって、栄光が【世々限りなく】ありますように、アーメン。
▽黙一18 また生きている者である。一度は死んだが、見よ、【世々限りなく】生きて、死と陰府の鍵を持っている。
▽黙一一15 さて、第七の天使がラッパを吹いた。すると、天にさまざまな大声があって、こう言った。「この世の国は、我らの主と、そのメシアのものとなった。主は【世々限りなく】統治される。」
▽黙一四11 その苦しみの煙は、【世々限りなく】立ち上り、獣とその像を拝む者たち、また、だれでも獣の名の刻印を受ける者は、昼も夜も安らぐことはない。」
▽黙一九3 また、こうも言った。「ハレルヤ。大淫婦が焼かれる煙は、【世々限りなく】立ち上る。」
▽黙二〇10 そして彼らを惑わした悪魔は、火と硫黄の池に投げ込まれた。そこにはあの獣と偽預言者がいる。そして、この者どもは昼も夜も【世々限りなく】責めさいなまれる。
▽黙二二5 もはや、夜はなく、ともし火の光も太陽の光も要らない。神である主が僕たちを照らし、彼らは【世々限りなく】統治するからである。
(d)神に使われる。動詞ザオー〈生きる〉の現在分詞の後に、この前置詞が続いて、「永遠に生きている方」
▼黙四9 玉座に座っておられ、【世々限りなく】生きておられる方に、これらの生き物が、栄光と誉れをたたえて感謝をささげると、
▼黙四10 二十四人の長老は、玉座に着いておられる方の前にひれ伏して、【世々限りなく】生きておられる方を礼拝し、自分たちの冠を玉座の前に投げ出して言った。
▼黙十6 【世々限りなく】生きておられる方にかけて誓った。すなわち、天とその中にあるもの、地とその中にあるもの、海とその中にあるものを創造された方にかけてこう誓った。「もはや時がない。
▼黙一五7 そして、四つの生き物の中の一つが、【世々限りなく】生きておられる神の怒りが盛られた七つの金の鉢を、この七人の天使に渡した。
(e)名詞プロセシス〈目的〉の後に属格形で、「永遠の目的に従って」
▼エフェ三11 これは、神がわたしたちの主キリスト・イエスによって実現された【永遠の】計画に沿うものです。
(f)「永遠(過去)から永遠(未来)まで」
▼バルナバの手紙一八2

(2)時の一区分、「時代」
(α)指示代名詞フートス〈この〉」で、来たるべき時代と対比された「(終わりに近づきつつある)今の時代」(ヘブライ語のハーオーラーム ハッゼー)
(a)「この世」
▼マタ一二32 人の子に言い逆らう者は赦される。しかし、聖霊に言い逆らう者は、この【世】でも後の世でも赦されることがない。」
(b)罪と悲惨の時代
▼ヘルマスの牧者第一の幻一8
▼ヘルマスの牧者第三のたとえ一ff
▼フリーア写本にあるマルコの結尾二
(c)名詞メリムナ〈煩い〉の後に属格形で、「今の時代の煩い」
▼マタ一三22 茨の中に蒔かれたものとは、御言葉を聞くが、【世の】思い煩いや富の誘惑が御言葉を覆いふさいで、実らない人である。
▼マコ四19 【この世の】思い煩いや富の誘惑、その他いろいろな欲望が心に入り込み、御言葉を覆いふさいで実らない。
(d)その他の名詞名(富・無益さ・仕事・欲望・悪など)と共に
▼ヘルマスの牧者第三の幻六5
▼ヘルマスの牧者第九のいましめ四
▼ヘルマスの牧者第五のたとえ三6
▼ヘルマスの牧者第十のいましめ一4
▼ヘルマスの牧者第十一のいましめ八
▼ヘルマスの牧者第六のたとえ二3
▼ヘルマスの牧者第七のたとえ二
▼ヘルマスの牧者第八のたとえ一一3
▼ヘルマスの牧者第六のたとえ一4
▼ヘルマスの牧者第六のたとえ三3
(e)名詞ヒュイオス〈子〉の後に属格形で、「この時代の子たち・この世の人々」(「光の子たち・照らされた人々」に対比される)
▼ルカ一六8 主人は、この不正な管理人の抜け目のないやり方をほめた。この【世の】子らは、自分の仲間に対して、光の子らよりも賢くふるまっている。
▽ルカ二〇34 イエスは言われた。「この【世の】子らはめとったり嫁いだりするが、
(f)名詞バシレイア〈王国〉の後に属格形で、「この世の諸王国」
▼イグナティオスの手紙
       ローマのキリスト者へ六1
(g)動詞シュスケーマティゾー〈従う〉と共に、「この世に従う」
▼ロマ一二2 あなたがたはこの【世に】倣ってはなりません。むしろ、心を新たにして自分を変えていただき、何が神の御心であるか、何が善いことで、神に喜ばれ、また完全なことであるかをわきまえるようになりなさい。
(h)名詞シュゼーテーテース〈探索者〉の後に属格形で、「この世の知恵の探索者」
▼1コリ一20 知恵のある人はどこにいる。学者はどこにいる。この【世の】論客はどこにいる。神は世の知恵を愚かなものにされたではないか。
(i)名詞ソフィア〈知恵〉の後に属格形で、「この世の知恵」
▼1コリ二6 しかし、わたしたちは、信仰に成熟した人たちの間では知恵を語ります。それはこの【世の】知恵ではなく、また、この【世の】滅びゆく支配者たちの知恵でもありません。
(j)前置詞エンと共に、「この世で」
▼1コリ三18 だれも自分を欺いてはなりません。もし、あなたがたのだれかが、自分はこの【世】で知恵のある者だと考えているなら、本当に知恵のある者となるために愚かな者になりなさい。
       この句はおそらく後続文に結合され、「彼はこの世(の評価)では愚かな者にならなければならない」となるだろう
(k)この世の支配者である悪魔がさまざまな表現で表される
▼2コリ四4 この【世の】神が、信じようとはしないこの人々の心の目をくらまし、神の似姿であるキリストの栄光に関する福音の光が見えないようにしたのです。
▼イグナティオスの手紙
       エフェソのキリスト者へ一七1
▼イグナティオスの手紙
       エフェソのキリスト者へ一九1
▼イグナティオスの手紙
       マグネシアのキリスト者へ一3
▼イグナティオスの手紙
       トラレスのキリスト者へ 四2
▼イグナティオスの手紙
       ローマのキリスト者へ七1
▼イグナティオスの手紙
       フィラデルフィアのキリスト者へ六2
(l)悪魔に従う諸霊は「この世の支配者たち」
▼1コリ二6 しかし、わたしたちは、信仰に成熟した人たちの間では知恵を語ります。それはこの【世の】知恵ではなく、また、この【世の】滅びゆく支配者たちの知恵でもありません。
▼1コリ二8 この【世の】支配者たちはだれ一人、この知恵を理解しませんでした。もし理解していたら、栄光の主を十字架につけはしなかったでしょう。
(m)形容詞として用いられた副詞ニュン〈今〉と共に、「今の時代」
▼1テモ六17 この【世】で富んでいる人々に命じなさい。高慢にならず、不確かな富に望みを置くのではなく、わたしたちにすべてのものを豊かに与えて楽しませてくださる神に望みを置くように。
▼2テモ四10 デマスはこの【世】を愛し、わたしを見捨ててテサロニケに行ってしまい、クレスケンスはガラテアに、テトスはダルマティアに行っているからです。
▼ポリュカルポスの手紙)九2
.▽テト二12 その恵みは、わたしたちが不信心と現世的な欲望を捨てて、この【世】で、思慮深く、正しく、信心深く生活するように教え、
(n)動詞エニステーミ〈現存する〉の完了分詞と共に、「今の時代」
▼ガラ一4 キリストは、わたしたちの神であり父である方の御心に従い、この悪の【世】からわたしたちを救い出そうとして、御自身をわたしたちの罪のために献げてくださったのです。
(o)名詞シュンテレイア〈終わり〉の後に属格形で、「この時代の終わり」
▼マタ一三39 毒麦を蒔いた敵は悪魔、刈り入れは【世の】終わりのことで、刈り入れる者は天使たちである。
▼マタ一三40 だから、毒麦が集められて火で焼かれるように、【世の】終わりにもそうなるのだ。
▼マタ一三49 【世の】終わりにもそうなる。天使たちが来て、正しい人々の中にいる悪い者どもをより分け、
▼マタ二四3 イエスがオリーブ山で座っておられると、弟子たちがやって来て、ひそかに言った。「おっしゃってください。そのことはいつ起こるのですか。また、あなたが来られて【世の】終わるときには、どんな徴があるのですか。」
▼マタ二八20 あなたがたに命じておいたことをすべて守るように教えなさい。わたしは【世の】終わりまで、いつもあなたがたと共にいる。」
▼ヘブ九26 もしそうだとすれば、天地創造の時から度々苦しまねばならなかったはずです。ところが実際は、【世の】終わりにただ一度、御自身をいけにえとして献げて罪を取り去るために、現れてくださいました。
(β)「来ようとしている時代」
(a)動詞メッローの現在分詞〈未来の〉と共に(「この時代」に時間と質の両方において対置される)
▼2クレメンス六3
▽ヘルマスの牧者第四のたとえ二ff.
▽マタ一二32 人の子に言い逆らう者は赦される。しかし、聖霊に言い逆らう者は、この【世】でも後の世でも赦されることがない。」
▽エフェ一21 すべての支配、権威、勢力、主権の上に置き、今の【世】ばかりでなく、来るべき世にも唱えられるあらゆる名の上に置かれました。
注ー使用一回、訳出二回
▼ヘブ六5 神のすばらしい言葉と来るべき【世の】力とを体験しながら、
(b)指示代名詞エケイノス〈その〉と共に
▼ルカ二〇35 次の【世に】入って死者の中から復活するのにふさわしいとされた人々は、めとることも嫁ぐこともない。
(c)動詞エルコマイ〈来る〉の現在分詞と共に
▼マコ十30 今この世で、迫害も受けるが、家、兄弟、姉妹、母、子供、畑も百倍受け、後の【世】では永遠の命を受ける。
▼ルカ一八30 この世ではその何倍もの報いを受け、後の【世】では永遠の命を受ける。」
▼ヘルマスの牧者第四のたとえ八
(d)動詞エペルコマイ〈近づく〉の現在分詞と共に
▼ヘルマスの牧者第四の幻三5
▼エフェ二7 こうして、神は、キリスト・イエスにおいてわたしたちにお示しになった慈しみにより、その限りなく豊かな恵みを、来るべき【世】に現そうとされたのです。
(e)形容詞ハギオス〈聖なる〉と共に、「この世」に対置された「聖なる時代」
▼バルナバの手紙十11
(f)形容詞アリュペートス〈悲しみのない〉と共に、苦痛の時代である「この世」に対して、完成した時としての「悲しみのない時代」
▼2クレメンス一九4
(g)名詞テロス〈終わり〉の複数形の後に複数属格形で、「時の終わり」
▼1コリ十11 これらのことは前例として彼らに起こったのです。それが書き伝えられているのは、【時の】終わりに直面しているわたしたちに警告するためなのです。
   「わたしたち、そのもとに時の終わりは近づいている」においては、「名詞テロス〈終わり〉の複数+アイオーンの複数形」で、「時の終わり」と言われている。ここで用いられている複数形は、二つの時代、すなわち、最初の時代の終わりとその後の時代の始まりに言及するもの、と説明する者がある。この見解は、初代のキリスト者たちは、彼らが生きている間に二つの時代が続けて来ることを信じていたということに注目させる(J・ヴァイス。しかし、ギリシャ人は「始まり」をテロスで表すことはなかっただろう)。しかし、テロスの複数形テレーは単数形と同様に「終わり」を意味することもあるので、また他方、アイオーンの複数形アイオーネスはしばしば単に形だけのものであるので(上記(1)(α)(β)(2)(α)末尾を参照)、複数形によるこの表現は、「テロスの単数+アイオーンの複数形」(シビルの神託 8.311)、つまり「時代の終わり」の意に等しいと見なすことができるだろう。
▽十二族長の遺言レビ一四1

(3)空間的概念としての「世界」
(a)永遠の王国
▼ペトロの黙示録一四
(b)神によって御子(神の言葉)を通して造られた世界
▼ヘブ一2 この終わりの時代には、御子によってわたしたちに語られました。神は、この御子を万物の相続者と定め、また、御子によって【世界】を創造されました。
▼ヘブ一一3 信仰によって、わたしたちは、【この世界】が神の言葉によって創造され、従って見えるものは、目に見えているものからできたのではないことが分かるのです。
(c)従って神は、「世界の王」と言われる(新共同訳は「永遠の王」)
▼1テモ一17 【永遠の】王、不滅で目に見えない唯一の神に、誉れと栄光が【世々限りなく】ありますように、アーメン。
▼1クレメンス六一2
▼1クレメンス三五3
▼1クレメンス五五6
      (しかし、これらの例の多くは次項に分類することができる)

(4)ひとつの人格として見られた「アイオーン」
(a)名詞コスモス〈世界〉+指示代名詞フートス〈この〉の属格形を伴って、「この世界のアイオーン」
▼エフェ二2 この世を【支配する者】、かの空中に勢力を持つ者、すなわち、不従順な者たちの内に今も働く霊に従い、過ちと罪を犯して歩んでいました。
(b)アイオーン(複数)から隠された秘密
▼コロ一26 【世の初め】から代々にわたって隠されていた、秘められた計画が、今や、神の聖なる者たちに明らかにされたのです。
▼エフェ三9 すべてのものをお造りになった神の内に【世の初め】から隠されていた秘められた計画が、どのように実現されるのかを、すべての人々に解き明かしています。
▼イグナティオスの手紙
       エフェソのキリスト者へ一九2
▽イグナティオスの手紙
       エフェソのキリスト者へ八1
    (これらの箇所には他にさまざまな意味が可能である)