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akoee
  アコエー
    聞くこと・聞かれること

B・年間・4


(1)聞くときに、用いているもの
(α)聴覚能力
▼1コリ一二17 もし体全体が目だったら、どこで【聞きます】か。もし全体が【耳】だったら、どこでにおいをかぎますか。
 直訳(前者)― 「[どこが]耳[ですか]」。この箇所には、(γ)の意味も可能である
(β)聞くという行為、聞くこと
(a)名詞ブレッマ〈見ること〉と並記されて
▼2ペト二8 なぜなら、この正しい人は、彼らの中で生活していたとき、毎日よこしまな行為を見【聞きして】正しい心を痛めていたからです。
 注― 与格形で。直訳― 「見ることと聞くことによって」
(b)与格形で、動詞アクーオー〈聞く〉」と共に、「聞くことによって聞く」(「聞く」を強調するヘブライ語的表現)
▼マタ一三14 イザヤの預言は、彼らによって実現した。『あなたたちは【聞く】には聞くが、決して理解せず、見るには見るが、決して認めない。
▼使二八26 語られました。『この民のところへ行って言え。あなたたちは【聞く】には聞くが、決して理解せず、見るには見るが、決して認めない。
▼バルナバの手紙 九2
(c)オーティオン〈耳〉の属格形を伴い、前置詞エイス〈中へ〉に支配されて、「耳で聞くことによって=聞くとすぐに(従う)」
▼バルナバの手紙 九1
(γ)聴覚器官である「耳」
(a)特に、複数形で、「耳」
▼マコ七35 すると、たちまち【耳】が開き、舌のもつれが解け、はっきり話すことができるようになった。
(b)前置詞エイスと共に、動詞エイスフェロー〈持ち込む〉に修飾して、「誰かに聞かせる」
▼使一七20 奇妙なことをわたしたちに【聞かせている】が、それがどんな意味なのか知りたいのだ。」
  直訳― 「[あなたは我々の]耳[に…を持ち込む]」
(c)人物の属格を伴い、前置詞エイスに支配されて、「誰かの耳元で」
▼ルカ七1 イエスは、民衆にこれらの言葉をすべて話し終えてから、カファルナウムに入られた。
  注― 訳出なし。直訳|「[彼は、民衆の]耳[に、彼の言葉のすべてを満たした時に]」
(d)与格形で、形容詞ノースロス〈怠惰な〉と共に、「耳が鈍くなって」
▼ヘブ五11 このことについては、話すことがたくさんあるのですが、あなたがたの【耳】が鈍くなっているので、容易に説明できません。
(e)動詞クネーソー〈掻く・くすぐる〉の目的語となって、「耳をくすぐられる」
▼2テモ四3 だれも健全な教えを聞こうとしない時が来ます。そのとき、人々は【自分に都合の良いことを聞こうと】、好き勝手に教師たちを寄せ集め、
▽2テモ四4 真理から【耳】を背け、作り話の方にそれて行くようになります。
(f)転義した意味で、動詞ペリテムノー〈割礼を施す〉の目的語となって、「耳に割礼を施す=誰かを注意深くさせる」
▼バルナバの手紙 九4
▼バルナバの手紙 十12

(2)聞かれること
(α)評判、名声、うわさ
▼マタ四24 そこで、イエスの【評判】がシリア中に広まった。人々がイエスのところへ、いろいろな病気や苦しみに悩む者、悪霊に取りつかれた者、てんかんの者、中風の者など、あらゆる病人を連れて来たので、これらの人々をいやされた。
▼マタ一四1 そのころ、領主ヘロデはイエスの【評判】を聞き、
▼マタ二四6 戦争の騒ぎや戦争の【うわさ】を聞くだろうが、慌てないように気をつけなさい。そういうことは起こるに決っているが、まだ世の終わりではない。
▼マコ一28 イエスの【評判】は、たちまちガリラヤ地方の隅々にまで広まった。
▼マコ一三7 戦争の騒ぎや戦争の【うわさ】を聞いても、慌ててはいけない。そういうことは起こるに決まっているが、まだ世の終わりではない。
▼1クレメンス 四七7
(β)報告、知らせ、説教
(a)動詞ピステウオー〈信じる〉と共に、「知らせを信じる」
▼ヨハ一二38 預言者イザヤの言葉が実現するためであった。彼はこう言っている。「主よ、だれがわたしたちの【知らせ】を信じましたか。主の御腕は、だれに示されましたか。」
▼ロマ十16 しかし、すべての人が福音に従ったのではありません。イザヤは、「主よ、だれがわたしたちから【聞いたこと】を信じましたか」と言っています。
▼ロマ十17 実に、信仰は【聞くこと】により、しかも、キリストの言葉を【聞くこと】によって始まるのです。
▼1クレメンス 一六3
(b)名詞ピスティス〈信仰〉の属格形を伴って、前置詞エク〈から〉に支配され、「信仰を求める説教によって」
▼ガラ三2 あなたがたに一つだけ確かめたい。あなたがたが″霊″を受けたのは、律法を行ったからですか。それとも、福音を【聞いて】信じたからですか。
▼ガラ三5 あなたがたに″霊″を授け、また、あなたがたの間で奇跡を行われる方は、あなたがたが律法を行ったから、そうなさるのでしょうか。それとも、あなたがたが福音を【聞いて】信じたからですか。
(c)属格形で、名詞ロゴス〈言葉〉に付属して、「説教の言葉」
▼ヘブ四2 というのは、わたしたちにも彼ら同様に福音が告げ知らされているからです。けれども、彼らには【聞いた】言葉は役に立ちませんでした。その言葉が、それを聞いた人々と、信仰によって結び付かなかったためです。
▼1テサ二13 このようなわけで、わたしたちは絶えず神に感謝しています。なぜなら、わたしたちから神の言葉を聞いたとき、あなたがたは、それを人の言葉としてではなく、神の言葉として受け入れたからです。事実、それは神の言葉であり、また、信じているあなたがたの中に現に働いているものです。
  注― 訳出なし。直訳― 「[わたしたちから神の]説教[の言葉を受け取ったとき]」
  注― 上記の用例のあるものは、「教え」という意味が可能である