1416
diabolos
ディアボロス
中傷的な・中傷者・悪魔
A・四旬・1
(1)形容詞として、「中傷的な・口の悪い」
(a)一般的に
▼ポルカリュポスの手紙 五2
(b)名詞を修飾して
[名詞ギュネー〈婦人〉]
▼1テモ三11 婦人の奉仕者たちも同じように品位のある人でなければなりません。【中傷】せず、節制し、あらゆる点で忠実な人でなければなりません。
[名詞プレスビューティス〈老婦人〉]
▼テト二3 同じように、年老いた女には、聖なる務めを果たす者にふさわしくふるまい、【中傷せ】ず、大酒のとりこにならず、善いことを教える者となるように勧めなさい。
(c)述語として
▼2テモ三3 また、情けを知らず、和解せず、【中傷し】、節度がなく、残忍になり、善を好まず、
(2)男性名詞として、「中傷する者」、特に「悪魔」(ヘブライ語「サータ−ン」の訳語として七十人訳にすでに見られる)
(a)一般的に
▼マタ四1 て、イエスは【悪魔】から誘惑を受けるため、″霊″に導かれて荒れ野に行かれた。
▼マタ四5 次に、【悪魔】はイエスを聖なる都に連れて行き、神殿の屋根の端に立たせて、
▼マタ四8 更に、【悪魔】はイエスを非常に高い山に連れて行き、世のすべての国々とその繁栄ぶりを見せて、
▼マタ四11 そこで、【悪魔】は離れ去った。すると、
▼マタ一三39 毒麦を蒔いた敵は【悪魔】、刈り入れは世の終わりのことで、刈り入れる者は天使たちである。
▼マタ二五41 それから、王は左側にいる人たちにも言う。『呪われた者ども、わたしから離れ去り、【悪魔】とその手下のために用意してある永遠の火に入れ。
▼ルカ四2 四十日間、【悪魔】から誘惑を受けられた。その間、何も食べず、その期間が終わると空腹を覚えられた。
▼.ルカ四3 そこで、【悪魔】はイエスに言った。「神の子なら、この石にパンになるように命じたらどうだ。」
▼ルカ四6 そして【悪魔】は言った。「この国々の一切の権力と繁栄とを与えよう。それはわたしに任されていて、これと思う人に与えることができるからだ。
▼ルカ四13 【悪魔】はあらゆる誘惑を終えて、時が来るまでイエスを離れた。
▼ルカ八12 道端のものとは、御言葉を聞くが、信じて救われることのないように、後から【悪魔】が来て、その心から御言葉を奪い去る人たちである。
▼ヨハ一三2 夕食のときであった。既に【悪魔は】、イスカリオテのシモンの子ユダに、イエスを裏切る考えを抱かせていた。
▼エフェ四27 【悪魔に】すきを与えてはなりません。
▼エフェ六11 【悪魔の】策略に対抗して立つことができるように、神の武具を身に着けなさい。
▼ヘブ二14 ところで、子らは血と肉を備えているので、イエスもまた同様に、これらのものを備えられました。それは、死をつかさどる者、つまり【悪魔を】御自分の死によって滅ぼし、
▼ヤコ四7 だから、神に服従し、【悪魔に】反抗しなさい。そうすれば、悪魔はあなたがたから逃げて行きます。
(b)名詞パギス〈わな〉と共に、「悪魔のわな」
▼1テモ三7 更に、監督は、教会以外の人々からも良い評判を得ている人でなければなりません。そうでなければ、中傷され、【悪魔の】罠に陥りかねないからです。
▼2テモ二26 こうして彼らは、【悪魔】に生け捕りにされてその意のままになっていても、いつか目覚めてその罠から逃れるようになるでしょう。
注ー 一行目の「悪魔」は原文では代名詞アウトスであり、二行目の「その」にあたる語がディアボロス。ギリシャ語と日本語では語順が違うので、このようなことが起こる。
(c)名詞アンティディコス〈反対者〉と同格に置かれ、「あなたがたの敵である悪魔」
▼1ペト五8 身を慎んで目を覚ましていなさい。あなたがたの敵である【悪魔】が、ほえたける獅子のように、だれかを食い尽くそうと探し回っています。
(d)教父文書での用例
[悪魔の雑草]
▼イグナティオスの手紙
エフェソのキリスト者へ 十3
[悪魔の待ち伏せ]
▼イグナティオスの手紙
トラレスのキリスト者へ 八1
▽ポリュカルポスの殉教 3
[拷問を行う悪魔]
▼イグナティオスの手紙
ローマのキリスト者へ 五3
[悪魔に仕える]
▼イグナティオスの手紙
スミルナのキリスト者へ 九1
[悪魔の道具(すなわち非キリスト者のこと)]
▼2クレメンス 一八2
[悪魔の狡猾さ]
▼ヘルマスの牧者第四のいましめ 三4
[罪に誘惑する悪魔]
▼ヘルマスの牧者第四のいましめ 三6
[悪魔は怒りの中に住む]
▼ヘルマスの牧者第五のいましめ 一3
[悪魔の業]
▼ヘルマスの牧者第七のいましめ 3
[懐疑は悪魔の娘]
▼ヘルマスの牧者第九のいましめ 9
[邪悪な欲望も悪魔の娘]
▼ヘルマスの牧者第十二のいましめ 二2
[悪魔が持つ霊]
▼ヘルマスの牧者第十一のいましめ 3
▼ヘルマスの牧者第十一のいましめ 17
[悪魔の戒め]
▼ヘルマスの牧者第十二のいましめ 四6
[悪魔と戦う]
▼ヘルマスの牧者第八のたとえ 三6
(e)邪悪な者は「悪魔の]子
[名詞ヒュイオス〈息子〉と共に]
▼使一三10 言った。「ああ、あらゆる偽りと欺きに満ちた者、【悪魔の】子、すべての正義の敵、お前は主のまっすぐな道をどうしてもゆがめようとするのか。
[名詞テクノン〈子供〉と共に]
▼1ヨハ三10 神の子たちと【悪魔の】子たちの区別は明らかです。正しい生活をしない者は皆、神に属していません。自分の兄を愛さない者も同様です。
[前置詞エクの後で、「悪魔からのもの」]
▼1ヨハ三8 罪を犯す者は【悪魔】に属します。【悪魔】は初めから罪を犯しているからです。【悪魔の】働きを滅ぼすためにこそ、神の子が現れたのです。
[悪魔は彼らの父]
▼ヨハ八44 あなたたちは、【悪魔である】父から出た者であって、その父の欲望を満たしたいと思っている。悪魔は最初から人殺しであって、真理をよりどころとしていない。彼の内には真理がないからだ。悪魔が偽りを言うときは、その本性から言っている。自分が偽り者であり、その父だからである。
(f)ユダが「悪魔」と呼ばれる
▼ヨハ六70 すると、イエスは言われた。「あなたがた十二人は、わたしが選んだのではないか。ところが、その中の一人は【悪魔】だ。」
▽ヨハ一三2 夕食のときであった。既に【悪魔は】、イスカリオテのシモンの子ユダに、イエスを裏切る考えを抱かせていた。 (・・を参照)
[バウワーが分類しなかった用例]
◆使十38 つまり、ナザレのイエスのことです。神は、聖霊と力によってこの方を油注がれた者となさいました。イエスは、方々を巡り歩いて人々を助け、【悪魔】に苦しめられている人たちをすべていやされたのですが、それは、神が御一緒だったからです。
◆1テモ三6 監督は、信仰に入って間もない人ではいけません。それでは高慢になって【悪魔と同じ】裁きを受けかねないからです。
◆ユダ9 大天使ミカエルは、モーセの遺体のことで【悪魔と】言い争ったとき、あえてののしって相手を裁こうとはせず、「主がお前を懲らしめてくださるように」と言いました。
◆黙二10 あなたは、受けようとしている苦難を決して恐れてはいけない。見よ、【悪魔が】試みるために、あなたがたの何人かを牢に投げ込もうとしている。あなたがたは、十日の間苦しめられるであろう。死に至るまで忠実であれ。そうすれば、あなたに命の冠を授けよう。
◆黙一二9 この巨大な竜、年を経た蛇、【悪魔】とかサタンとか呼ばれるもの、全人類を惑わす者は、投げ落とされた。地上に投げ落とされたのである。その使いたちも、もろともに投げ落とされた。
◆黙一二12 このゆえに、もろもろの天と、その中に住む者たちよ、喜べ。地と海とは不幸である。【悪魔】は怒りに燃えて、お前たちのところへ降って行った。残された時が少ないのを知ったからである。」
◆黙二〇2 この天使は、【悪魔】でもサタンでもある、年を経たあの蛇、つまり竜を取り押さえ、千年の間縛っておき、
◆黙二〇10 そして彼らを惑わした【悪魔】は、火と硫黄の池に投げ込まれた。そこにはあの獣と偽預言者がいる。そして、この者どもは昼も夜も世々限りなく責めさいなまれる。