2546

eschatos
 エスカトス
   最後の・最小の・最終の

A・年間・25


最後の、極限の 
(1)場所に使われて
(a)名詞トポス〈席〉を修飾して(これは位置を表して、「一番遠くの隅にある席」と理解されるかもしれない)
▼ルカ一四9  あなたやその人を招いた人が来て、『この方に席を譲ってください』と言うかもしれない。そのとき、あなたは恥をかいて【末】席に着くことになる。
▼ルカ一四10 招待を受けたら、むしろ【末】席に行って座りなさい。そうすると、あなたを招いた人が来て、『さあ、もっと上席に進んでください』と言うだろう。そのときは、同席の人みんなの前で面目を施すことになる。
(b)冠詞を付けて名詞として、「末端」 
準前置詞ヘオース〈まで〉
▼使一8 あなたがたの上に聖霊が降ると、あなたがたは力を受ける。そして、エルサレムばかりでなく、ユダヤとサマリアの全土で、また、地の【果て】に至るまで、わたしの証人となる。」
▼使一三47 主はわたしたちにこう命じておられるからです。
     『わたしは、あなたを異邦人の光と定めた、
     あなたが、地の【果て】にまでも
     救いをもたらすために。』」
▼バルナバの手紙一四8 
複数形で
▼1クレメンス二八3 
(2)等級や序列に使われて(形容詞プロートス〈最初の〉と対比されて) 
(α)最後の、最小の、最も価値の低い
(a)形容詞プロートス〈最初の〉と対比されて
▼マタ一九30 しかし、先にいる多くの者が【後】になり、【後にいる】多くの者が先になる。」
▼マタ二〇16 このように、【後にいる者】が先になり、先にいる者が【後】になる。」
▼マコ九35 イエスが座り、十二人を呼び寄せて言われた。「いちばん先になりたい者は、すべての人の【後】になり、すべての人に仕える者になりなさい。」
▼マコ一〇31 しかし、先にいる多くの者が【後】になり、【後にいる】多くの者が先になる。」
◆ルカ一三30 そこでは、【後の人】で先になる者があり、先の人で【後】になる者もある。」
▼トマス福音書4 
(b)名詞トポスの対格を修飾し、「最低の席」(「最低の」という意味で使われる場合、エスカトスは形容詞エンドクソス〈名誉ある〉の比較級と対比されるだろう) 
▼ルカ一四9 あなたやその人を招いた人が来て、『この方に席を譲ってください』と言うかもしれない。そのとき、あなたは恥をかいて【末】席に着くことになる。
▽ルカ一四10 招待を受けたら、むしろ【末】席に行って座りなさい。そうすると、あなたを招いた人が来て、『さあ、もっと上席に進んでください』と言うだろう。そのときは、同席の人みんなの前で面目を施すことになる。
 (この二例は、価値を含まずに、単純に場所を表す使い方であれば、(1)の(a)に分類される)
(c)使徒に使われて(神は彼らに逆境を経験させ、彼らが「最低の者」であることを人々に示した)
▼1コリ四9 考えてみると、神はわたしたち使徒を、まるで死刑囚のように【最後に】引き出される者となさいました。わたしたちは世界中に、天使にも人にも、見せ物となったからです。
(d)形容詞ピストス〈信じている〉の複数属格〈キリスト信者〉が後にが続いて、「キリスト信者の最も小さい者」 
▼イグナティオスの手紙
       エフェソのキリスト者へ 二一2 
▽イグナティオスの手紙
       トラレスのキリスト者へ 一三1 
▼イグナティオスの手紙
       ローマのキリスト者へ 九2 
▼イグナティオスの手紙
       スミルナのキリスト者へ 一一1 
(β)価値の高い方に進んで最後の、「最高の、極限の」 
▼ヤコブ原福音書 六2  
▼パウロ行伝 四15 

(3)時間に使われて、「最も遅い、最終の」(最後にやって来ること、あるいは最後まで残っているものに使われる) 
(α)先立つものとの関係を示して 
(a)最後の(もの) 
▼マタ二〇12 『【最後に来た】この連中は、一時間しか働きませんでした。まる一日、暑い中を辛抱して働いたわたしたちと、この連中とを同じ扱いにするとは。』
▼マタ二〇14 自分の分を受け取って帰りなさい。わたしはこの【最後の者】にも、あなたと同じように支払ってやりたいのだ。
▼マコ一二6  まだ一人、愛する息子がいた。『わたしの息子なら敬ってくれるだろう』と言って、【最後に】息子を送った。
▼マコ一二22 こうして、七人とも跡継ぎを残しませんでした。【最後に】その女も死にました。
注― 形容詞パース〈すべての〉と共に。
(b)前置詞アポ〈から〉と一緒に
▼マタ二〇8 夕方になって、ぶどう園の主人は監督に、『労働者たちを呼んで、【最後に来た者】から始めて、最初に来た者まで順に賃金を払ってやりなさい』と言った。
▽マタ二七64 ですから、三日目まで墓を見張るように命令してください。そうでないと、弟子たちが来て死体を盗み出し、『イエスは死者の中から復活した』などと民衆に言いふらすかもしれません。そうなると、人々は前よりもひどく惑わされることになります。」
  注― 訳出なし。
  直訳― 「後の[迷いは前のものより悪くなる]」
▽1コリ一五45 「最初の人アダムは命のある生き物となった」と書いてありますが、【最後の】アダムは命を与える霊となったのです。
      (マタ二七64・1コリ一五45では二つのものの後者がエスカストスによって表されている)
▽黙二19 「わたしは、あなたの行い、愛、信仰、奉仕、忍耐を知っている。更に、あなたの【近ごろの】行いが、最初のころの行いにまさっていることも知っている。
▼ヘルマスの牧者第一の幻 四2
(c)冠詞のついた複数形で、「後の状態」 
▼マタ一二45 そこで、出かけて行き、自分よりも悪いほかの七つの霊を一緒に連れて来て、中に入り込んで、住み着く。そうなると、その人の【後の状態】は前よりも悪くなる。この悪い時代の者たちもそのようになろう。」
▼ルカ一一26 そこで、出かけて行き、自分よりも悪いほかの七つの霊を連れて来て、中に入り込んで、住み着く。そうなると、その人の【後の状態】は前よりも悪くなる。」
▼2ペト二20 わたしたちの主、救い主イエス・キリストを深く知って世の汚れから逃れても、それに再び巻き込まれて打ち負かされるなら、そのような者たちの【後の状態】は、前よりずっと悪くなります。
(d)終末時に創造されるものに使われて
▼バルナバの手紙 六13 
(β)後続するものが何もないという状態を示して
(a)名詞ヘーメラ〈日〉を修飾して
▼ヨハ七37 祭りが最も盛大に祝われる【終わりの】日に、イエスは立ち上がって大声で言われた。「渇いている人はだれでも、わたしのところに来て飲みなさい。
▼ヘルマスの牧者第三の幻 一二2  
▼ヤコブ原福音書 一3  
(b)名詞コドゥランテース〈クァドランス〉を修飾して、「最後のクァドランス」 
▼マタ五26 はっきり言っておく。【最後の】一クァドランスを返すまで、決してそこから出ることはできない。」
◆ルカ一二59 言っておくが、【最後の】一レプトンを返すまで、決してそこから出ることはできない。」
▼ディダケー 一5 
▽1コリ一五26 【最後の】敵として、死が滅ぼされます。
▽1コリ一五52 【最後の】ラッパが鳴るとともに、たちまち、一瞬のうちにです。ラッパが鳴ると、死者は復活して朽ちない者とされ、わたしたちは変えられます。
▽黙一五1 わたしはまた、天にもう一つの大きな驚くべきしるしを見た。七人の天使が【最後の】七つの災いを携えていた。これらの災いで、神の怒りがその極みに達するのである。
▽黙二一9 さて、【最後の】七つの災いの満ちた七つの鉢を持つ七人の天使がいたが、その中の一人が来て、わたしに語りかけてこう言った。「ここへ来なさい。小羊の妻である花嫁を見せてあげよう。」
(c)名詞ラブドス〈杖〉を修飾して、「最後の杖を」 
▼ヤコブ原福音書 九1  
(d)名詞レーマ〈ことば〉を修飾して、「(話の)最後のことばを」 
▼ヘルマスの牧者第一の幻 三3  
(e)復活した主が自らの称号に用いて、「最初の者にして最後の者」 
▼黙一17 わたしは、その方を見ると、その足もとに倒れて、死んだようになった。すると、その方は右手をわたしの上に置いて言われた。「恐れるな。わたしは最初の者にして【最後の者】、
▼黙二8 スミルナにある教会の天使にこう書き送れ。『最初の者にして、【最後の者である方】、一度死んだが、また生きた方が、次のように言われる。
▼黙二二13 わたしはアルファであり、オメガである。最初の者にして、【最後の者】。初めであり、終わりである。
(f)特に、終末に使われて(終末は、時にはキリストの誕生から、また時にはキリストの再臨から始まると考えられる)
名詞ヘーメラを修飾して、「最後の日」 
▼ヨハ六39 わたしをお遣わしになった方の御心とは、わたしに与えてくださった人を一人も失わないで、【終わりの】日に復活させることである。
▼ヨハ六40 わたしの父の御心は、子を見て信じる者が皆永遠の命を得ることであり、わたしがその人を【終わりの】日に復活させることだからである。」
▼ヨハ六44 わたしをお遣わしになった父が引き寄せてくださらなければ、だれもわたしのもとへ来ることはできない。わたしはその人を【終わりの】日に復活させる。
▼ヨハ六54 わたしの肉を食べ、わたしの血を飲む者は、永遠の命を得、わたしはその人を【終わりの】日に復活させる。
▼ヨハ一一24 マルタは、「【終わりの】日の復活の時に復活することは存じております」と言った。
▼ヨハ一二48 わたしを拒み、わたしの言葉を受け入れない者に対しては、裁くものがある。わたしの語った言葉が、【終わりの】日にその者を裁く。
▼ヘルマスの牧者第二の幻 二5  
複数形で
▼使二17 『神は言われる。
    【終わりの】時に、
    わたしの霊をすべての人に注ぐ。
    すると、あなたたちの息子と娘は預言し、
    若者は幻を見、老人は夢を見る。
▼2テモ三1 しかし、【終わりの】時には困難な時期が来ることを悟りなさい。
▼ヤコ五3 金銀もさびてしまいます。このさびこそが、あなたがたの罪の証拠となり、あなたがたの肉を火のように食い尽くすでしょう。あなたがたは、この【終わりの】時のために宝を蓄えたのでした。
▼ディダケー 一六3 
▼バルナバの手紙 四9 
(g)「前置詞エピ〈には〉+名詞ヘーメラ〈時代〉」と一緒に、「時代の終わりには」 
▼ヘブ一2 この【終わりの】時代には、御子によってわたしたちに語られました。神は、この御子を万物の相続者と定め、また、御子によって世界を創造されました。
▼2ペト三3 まず、次のことを知っていなさい。【終わりの】時には、欲望の赴くままに生活してあざける者たちが現れ、あざけって、
▼2クレメンス 一四2 
▼バルナバの手紙 一二9 
▼バルナバの手紙 一六5 
▼ヘルマスの牧者第九のたとえ 二七3 
▼ヤコブ原福音書 七2 
(h)「前置詞エピ+名詞クロノス〈時〉の属格」と一緒に、「時の終わりには」 
▼ユダ一八 彼らはあなたがたにこう言いました。「【終わりの】時には、あざける者どもが現れ、不信心な欲望のままにふるまう。」
▼1ペト一20 キリストは、天地創造の前からあらかじめ知られていましたが、この【終わりの】時代に、あなたがたのために現れてくださいました。
(i)名詞カイロス〈時〉を修飾して、「最後の時」 
▼ペト一5 あなたがたは、【終わりの】時に現されるように準備されている救いを受けるために、神の力により、信仰によって守られています。
▼ディダケー 一六2 
▼イグナティオスの手紙
       エフェソのキリスト者へ 一一1 
▼パウロ行伝 八25 
▼オクシリンコス・パピルス 一六〇二 
(j)名詞ホーラ〈時間〉を修飾して、「最後の時」 
▼1ヨハ二18 子供たちよ、【終わりの】時が来ています。反キリストが来ると、あなたがたがかねて聞いていたとおり、今や多くの反キリストが現れています。これによって、【終わりの】時が来ていると分かります。
(k)中性形エスカトンで副詞として使われ、「最後に」
▼マコ一二22 こうして、七人とも跡継ぎを残しませんでした。【最後に】その女も死にました。
  注― 形容詞パース〈すべての〉と共に
      (3)の【α】の(a)を見よ
▼1コリ一五8 そして【最後に】、月足らずで生まれたようなわたしにも現れました。
  注― 形容詞パース〈すべての〉と共に