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geenna
ゲエンナ
ゲヘナ・地獄
B・年間・26
ゲヘナ(ヘブライ語「ゲー・ヒンノーム」のギリシャ語音写である。タルグム(旧約聖書のアラム語訳)では「ゲーヒンナーム」。本来は「ゲー・ベン・ヒンノーム」で、「ヒンノムの子らの谷」の意味。エルサレムの南にある渓谷。後代のユダヤ教民間信仰では、最後の審判はいつの日かそこで起こるとされていた。福音書では、次の世で罰を受ける場所、「地獄」である)
(a)名詞クリシス〈裁き〉に属格形で付属して、「ゲヘナの裁き」
▼マタ二三33 蛇よ、蝮の子らよ、どうしてあなたたちは【地獄】の罰を免れることができようか。
(b)前置詞エイス〈中へ〉に対格形で付属し、次の動詞と一緒に使われ、「ゲヘナに投げ入れられる」
[動詞バッロー〈投げる〉]
▼マタ五29 もし、右の目があなたをつまずかせるなら、えぐり出して捨ててしまいなさい。体の一部がなくなっても、全身が【地獄】に投げ込まれない方がましである。
▼マタ一八9 もし片方の目があなたをつまずかせるなら、えぐり出して捨ててしまいなさい。両方の目がそろったまま火の【地獄】に投げ込まれるよりは、一つの目になっても命にあずかる方がよい。」
▼マコ九45 もし片方の足があなたをつまずかせるなら、切り捨ててしまいなさい。両足がそろったままで【地獄】に投げ込まれるよりは、片足になっても命にあずかる方がよい。
▼マコ九47 もし片方の目があなたをつまずかせるなら、えぐり出しなさい。両方の目がそろったまま【地獄】に投げ込まれるよりは、一つの目になっても神の国に入る方がよい。
[動詞エムバッロー〈投げる〉]
▼ルカ一二5 だれを恐れるべきか、教えよう。それは、殺した後で、【地獄】に投げ込む権威を持っている方だ。そうだ。言っておくが、この方を恐れなさい。
[動詞アペルコマイ〈立ち去る・行く〉]
▼マタ五30 もし、右の手があなたをつまずかせるなら、切り取って捨ててしまいなさい。体の一部がなくなっても、全身が【地獄】に落ちない方がましである。」
▼マコ九43 もし片方の手があなたをつまずかせるなら、切り捨ててしまいなさい。両手がそろったまま【地獄】の消えない火の中に落ちるよりは、片手になっても命にあずかる方がよい。
(c)前置詞エン〈中で〉に与格形で付属し、動詞アポッリューミ〈滅ぼす〉と共に、「ゲヘナで滅ぼす」
▼マタ十28 体は殺しても、魂を殺すことのできない者どもを恐れるな。むしろ、魂も体も【地獄】で滅ぼすことのできる方を恐れなさい。
(d)名詞ヒュイオス〈息子・子孫〉と共に、「地獄の子」
▼マタ二三15 律法学者たちとファリサイ派の人々、あなたたち偽善者は不幸だ。改宗者を一人つくろうとして、海と陸を巡り歩くが、改宗者ができると、自分より倍も悪い【地獄】の子にしてしまうからだ。
注― セム語的用法
(e)前置詞エイス〈中へ〉に対格形で付属した句が、省略された動詞バッロー〈投げる〉の不定法につながり、形容詞エノコス〈罰を受けるべき〉の目的語となって、「ゲヘナに投げ入れられという罰を受ける」
▼マタ五22 しかし、わたしは言っておく。兄弟に腹を立てる者はだれでも裁き受ける。兄弟に『ばか』と言う者は、最高法院に引き渡され、『愚か者』と言う者は、火の【地獄】に投げ込まれる。
(f)裁きの場として火が燃える場所
[前置詞ヒュポ〈よって〉に付属して]
▼ヤコ三6 舌は火です。舌は「不義の世界」です。わたしたちの体の器官の一つで、全身を汚し、移り変わる人生を焼き尽くし、自らも【地獄の火】によって燃やされます。
[名詞ピュール〈火〉と共に「火の地獄」]
▼マタ五22 しかし、わたしは言っておく。兄弟に腹を立てる者はだれでも裁き受ける。兄弟に『ばか』と言う者は、最高法院に引き渡され、『愚か者』と言う者は、火の【地獄】に投げ込まれる。 ((e)を参照)
▼マタ一八9 もし片方の目があなたをつまずかせるなら、えぐり出して捨ててしまいなさい。両方の目がそろったまま火の【地獄】に投げ込まれるよりは、一つの目になっても命にあずかる方がよい。」 ((b)を参照)
▼2クレメンス 五4