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makarios
マカリオス
至福の・幸い
A・年間・4
通常は「神の恵みを特別に受け取る人」の意味で、「至福の、幸福な、幸いな」
(1)人間に使われる
(α)宗教的色彩をほとんど含まずに
(a)動詞ヘーゲオマイ〈と思う〉の完了とともに、「自分を幸いであると思っている」
▼使二六2 「アグリッパ王よ、私がユダヤ人たちに訴えられていることすべてについて、今日、王の前で弁明させていただけるのは【幸いである】と思います。
(b)再婚せずにいるやもめを表して、比較級で、「彼女はより幸福である」
▼1コリ七40 しかし、わたしの考えによれば、そのままでいる方が【ずっと幸福】です。わたしも神の霊を受けていると思います。
(c)名詞ギュネー〈女・妻〉と共に、「このような人を妻にしていたら、わたしは幸福だろう」
▼ヘルマスの牧者第一の幻 一
▼ヘルマスの牧者第一の幻 二
▽ルカ二三29 人々が、『子を産めない女、産んだことのない胎、乳を飲ませたことのない乳房は【幸いだ】』と言う日が来る。
(β)より明白な宗教的意味合いを込めて
(a)聖書に登場する人物について
[モーセ]
▼1クレメンス 四三1
[ユディト]
▼1クレメンス 五五4
[パウロ]
▼1クレメンス 四七1
▼ポリュカルポスの手紙 三2
(b)その他の卓越したキリスト者、特に、殉教者が
▼ポリュカルポスの手紙 九1
▼ポリュカルポスの殉教 一1
▼ポリュカルポスの殉教 一九
▼ポリュカルポスの殉教 一九1
▼ポリュカルポスの殉教 一九21
▼ポリュカルポスの殉教 二二1
▼ポリュカルポスの殉教 一九3
(c)世を去った長老が
▼1クレメンス 四四5
(d)「前置詞エン〈において〉+名詞ポイエーシス〈行うこと〉」を伴って、「その行いによって幸せ」
▼ヤコ一25 しかし、自由をもたらす完全な律法を一心に見つめ、これを守る人は、聞いて忘れてしまう人ではなく、行う人です。このような人は、その行いによって【幸せ】になります。
(e)条件文の帰結節に使われ、「・・・であるなら、幸せ」(マカリオスと結びつく連繋詞がしばしば省かれる)
▼1ペト三14 しかし、義のために苦しみを受けるのであれば、【幸いです】。人々を恐れたり、心を乱したりしてはいけません。
▼1ペト四14 あなたがたはキリストの名のために非難されるなら、【幸いです】。栄光の霊、すなわち神の霊が、あなたがたの上にとどまってくださるからです。
▼ヘルマスの牧者第八のいましめ 9
(f)条件文が続いて
▼ヨハ一三17 このことが分かり、そのとおりに実行するなら、【幸い】である。
▼1クレメンス 五〇5
▼ヘルマスの牧者第六のたとえ 一1a
(g)関係文が続いて、「・・という人は幸せ」(マカリオスと結びつく連繋詞がしばしば省かれる)
▼マタ一一6 わたしにつまずかない人は【幸い】である。」
▼ルカ七23 わたしにつまずかない人は【幸い】である。」
▼ルカ一四15 食事を共にしていた客の一人は、これを聞いてイエスに、「神の国で食事をする人は、【なんと幸いなことでしょう】」と言った。
▼ロマ四7 「不法が赦され、罪を覆い隠された人々は、【幸いである】。
▼ロマ四8 主から罪があると見なされない人は、【幸いである】。」
▼ヤコ一12 試練を耐え忍ぶ人は【幸いです】。その人は適格者と認められ、神を愛する人々に約束された命の冠をいただくからです。
▼1クレメンス 五六6
▼バルナバの手紙 十
▼バルナバの手紙 一一8
▼ヘルマスの牧者第二の幻 2
▼ヘルマスの牧者第二の幻 7
▼ヘルマスの牧者第九のたとえ 29
▼ヘルマスの牧者第九のたとえ 3
[キリストにおいて幸せ]
▼イグナティオスの手紙
フィラデルフィアのキリスト者へ十2
[関係文が先行して]
▼ヘルマスの牧者第三の幻 8
▼ヘルマスの牧者第三の幻 4
▼ヘルマスの牧者第五のたとえ 9
▼ヘルマスの牧者第五のたとえ 9b
▼ヘルマスの牧者第六のたとえ 1
▼ヘルマスの牧者第六のたとえ 1b
(h)名詞(名詞的用法の形容詞や分詞)の述語として、「…者は幸いである」(主語には冠詞がつく)
▼マタ五3 心の貧しい人々は、【幸いである】、
天の国はその人たちのものである。
▼マタ五4 悲しむ人々は、【幸いである】、
その人たちは慰められる。
▼マタ五5 柔和な人々は、【幸いである】、
その人たちは地を受け継ぐ。
▼マタ五6 義に飢え渇く人々は、【幸いである】、
その人たちは満たされる。
▼マタ五7 憐れみ深い人々は、【幸いである】、
その人たちは憐れみを受ける。
▼マタ五8 心の清い人々は、【幸いである】、
その人たちは神を見る。
▼マタ五9 平和を実現する人々は、【幸いである】、
その人たちは神の子と呼ばれる。
▼マタ五10 義のために迫害される人々は、【幸いである】、
天の国はその人たちのものである。
「ああ、・・・の幸福」「・・・に幸い」という訳を好む者もあるが、この訳はアラム語(ヘブライ語のアシュレー)の元来の意味に対しては正確かもしれない。しかし、ギリシャ語を話すキリスト者が「マカリオス」と口にする時の意味内容をあまり表してはいない。ギリシャ古典文献では、「幸いである」という状態は天に昇ることによってもたらされ、「至上の幸福」はそこで享受される
▼マタ二四46 主人が帰って来たとき、言われたとおりにしているのを見られる僕は【幸いである】。
▼ルカ一45 主がおっしゃったことは必ず実現すると信じた方は、【なんと幸いでしょう】。
▼ルカ六20 さて、イエスは目を上げ弟子たちを見て言われた。
「貧しい人々は、【幸いである】、
神の国はあなたがたのものである。
▼ルカ六21 今飢えている人々は、【幸いである】、
あなたがたは満たされる。
今泣いている人々は、【幸いである】、
あなたがたは笑うようになる。
▼ルカ六22 人々に憎まれるとき、また、人の子のために追い出され、ののしられ、汚名を着せられるとき、あなたがたは【幸い】である。
▼ルカ一一28 しかし、イエスは言われた。「むしろ、【幸いなのは】神の言葉を聞き、それを守る人【である】。」
▼ルカ一二37 主人が帰って来たとき、目を覚ましているのを見られる僕たちは【幸いだ】。はっきり言っておくが、主人は帯を締めて、この僕たちを食事の席に着かせ、そばに来て給仕してくれる。
▽ルカ一二38 主人が真夜中に帰っても、夜明けに帰っても、目を覚ましているのを見られる僕たちは【幸い】だ。
▼ルカ一二43 主人が帰って来たとき、言われたとおりにしているのを見られる僕は【幸いである】。
▼ヨハ二〇29 イエスはトマスに言われた。「わたしを見たから信じたのか。見ないのに信じる人は、【幸いである】。」
▼ロマ一四22 あなたは自分が抱いている確信を、神の御前で心の内に持っていなさい。自分の決心にやましさを感じない人は【幸いです】。
▼黙一3 この預言の言葉を朗読する人と、これを聞いて、中に記されたことを守る人たちとは【幸いである】。時が迫っているからである。
▼黙一四13 また、わたしは天からこう告げる声を聞いた。「書き記せ。『今から後、主に結ばれて死ぬ人は【幸いである】』と。」″霊″も言う。「然り。彼らは労苦を解かれて、安らぎを得る。その行いが報われるからである。」
▼黙一六15 ――見よ、わたしは盗人のように来る。裸で歩くのを見られて恥をかかないように、目を覚まし、衣を身に着けている人は【幸いである】。――
▼黙一九9 それから天使はわたしに、「書き記せ。小羊の婚宴に招かれている者たちは【幸いだ】」と言い、また、「これは、神の真実の言葉である」とも言った。
▼黙二〇6 第一の復活にあずかる者は、【幸いな者】、聖なる者【である】。この者たちに対して、第二の死は何の力もない。彼らは神とキリストの祭司となって、千年の間キリストと共に統治する。
▼黙二二7 見よ、わたしはすぐに来る。この書物の預言の言葉を守る者は、【幸いである】。」
▼黙二二14 命の木に対する権利を与えられ、門を通って都に入れるように、自分の衣を洗い清める者は【幸いである】。
▼2クレメンス 一六4
▼2クレメンス 一九3
▼ディダケー 一5
▼ポリュカルポスの手紙 二3
(i)接続詞ホティによって理由が示され、「・・・なので、幸い」
▼マタ一六17 すると、イエスはお答えになった。「シモン・バルヨナ、あなたは【幸い】だ。あなたにこのことを現したのは、人間ではなく、わたしの天の父なのだ。
▼ルカ一四14 そうすれば、その人たちはお返しができないから、あなたは【幸い】だ。正しい者たちが復活するとき、あなたは報われる。」
(j)不変化詞ホタン〈するとき・するときはいつでも〉に導かれた従属節が続いて、「・・・のとき、幸い」
▼マタ五11 わたしのためにののしられ、迫害され、身に覚えのないことであらゆる悪口を浴びせられるとき、あなたがたは【幸い】である。
(2)神に使われる
▼1テモ一11 今述べたことは、【祝福に満ちた】神の栄光の福音に一致しており、わたしはその福音をゆだねられています。
▼1テモ六15 神は、定められた時にキリストを現してくださいます。神は、【祝福に満ちた】唯一の主権者、王の王、主の主、
(3)人格を持たぬものに使われる
(α)特別の恵みに与る人間の体の部分に使われ、体の部分そのものが「幸いな」と呼ばれる
(a)名詞オフサルモス〈目〉は「幸い」
▼マタ一三16 しかし、あなたがたの目は見ているから【幸いだ】。あなたがたの耳は聞いているから幸いだ。注−使用一回・訳出二回
▼ルカ十23 それから、イエスは弟子たちの方を振り向いて、彼らだけに言われた。「あなたがたの見ているものを見る目は【幸いだ】。
(b)コイリア〈胎〉は「幸い」
▼ルカ一一27 イエスがこれらのことを話しておられると、ある女が群衆の中から声高らかに言った。「【なんと幸いなことでしょう】、あなたを宿した胎、あなたが吸った乳房は。」
(β)神と緊密な関係にある事物に使われる
(a)「神の賜物は幸い」
▼1クレメンス 三五1
(b)キリスト者たちに植えつけられている霊について
▼バルナバの手紙 一2
(c)来るべき時代のことを
▼2クレメンス 一九4
(γ)殉教に使われる
(a)一般的に
▼ポリュカルポスの殉教 二1
(b)名詞エルピス〈希望〉を修飾して、「幸いな希望を」
▼テト二13 また、【祝福に満ちた】希望、すなわち偉大なる神であり、わたしたちの救い主であるイエス・キリストの栄光の現れを待ち望むように教えています。
(c)動詞ディドーミ〈与える〉の不定法を主語として、「受けるよりも与えることはさらに幸いである」
▼使二〇35 あなたがたもこのように働いて弱い者を助けるように、また、主イエス御自身が『受けるよりは与える方が【幸い】である』と言われた言葉を思い出すようにと、わたしはいつも身をもって示してきました。」