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ptoochos
  プトーコス
    貧しい(人)、無力な

A・年間・4


(1)もともとは、「物ごいをする、援助を人に頼る」の意味だが、単に、「貧しい」の意味でもある
(α)まったく文字通りに
(a)名詞ケーラー〈やもめ〉を形容し、「貧しいやもめ」
▼マコ一二42 ところが、一人の【貧しい】やもめが来て、レプトン銅貨二枚、すなわち一クァドランスを入れた。
▼マコ一二43 イエスは、弟子たちを呼び寄せて言われた。「はっきり言っておく。この【貧しい】やもめは、賽銭箱に入れている人の中で、だれよりもたくさん入れた。
▼ルカ二一3 言われた。「確かに言っておくが、この【貧しい】やもめは、だれよりもたくさん入れた。
(b)おもに名詞として用いられ、「貧しい人」(プルーシオス〈金持ち〉の反意語)
▼ルカ六20 さて、イエスは目を上げ弟子たちを見て言われた。
「【貧しい人々】は、幸いである、
神の国はあなたがたのものである。
       注ー24節「富んでいる人々」を参照
▼黙一三16 また、小さな者にも大きな者にも、富める者にも【貧しい者】にも、自由な身分の者にも奴隷にも、すべての者にその右手か額に刻印を押させた。
▼1クレメンス三八2
▼ヘルマスの牧者第二のたとえ 4
▼マタ二六11 【貧しい人々】はいつもあなたがたと一緒にいるが、わたしはいつも一緒にいるわけではない。
▼マコ一四7 【貧しい人々】はいつもあなたがたと一緒にいるから、したいときに良いことをしてやれる。しかし、わたしはいつも一緒にいるわけではない。
▼ルカ一四13, 宴会を催すときには、むしろ、【貧しい人】、体の不自由な人、足の不自由な人、目の見えない人を招きなさい。
▼ルカ一四21 僕は帰って、このことを主人に報告した。すると、家の主人は怒って、僕に言った。『急いで町の広場や路地へ出て行き、【貧しい人】、体の不自由な人、目の見えない人、足の不自由な人をここに連れて来なさい。』
▼ルカ一六20 この金持ちの門前に、ラザロというできものだらけの【貧しい人】が横たわり、
▼ルカ一六22 やがて、この【貧しい人】は死んで、天使たちによって宴席にいるアブラハムのすぐそばに連れて行かれた。金持ちも死んで葬られた。
▼ヨハ一二6 彼がこう言ったのは、【貧しい人々】のことを心にかけていたからではない。彼は盗人であって、金入れを預かっていながら、その中身をごまかしていたからである。
▼ヨハ一二8 【貧しい人々】はいつもあなたがたと一緒にいるが、わたしはいつも一緒にいるわけではない。」
▼ロマ一五26 マケドニア州とアカイア州の人々が、エルサレムの聖なる者たちの中の【貧しい人々】を援助することに喜んで同意したからです。
      注ー形容詞ハギオス〈聖い〉と共に使われている。下記#β$の意味での「プトーコイ〈貧しい者たち〉」は「ハギオイ〈聖者たち〉」と同義。
▼2コリ六10 悲しんでいるようで、常に喜び、【物乞い】のようで、多くの人を富ませ、無一物のようで、すべてのものを所有しています。  
▼ガラ二10 ただ、わたしたちが【貧しい人たち】のことを忘れないようにとのことでしたが、これは、ちょうどわたしも心がけてきた点です。 
▼ヤコ二2 あなたがたの集まりに、金の指輪をはめた立派な身なりの人が入って来、また、汚らしい服装の【貧しい人】も入って来るとします。
▼ヤコ二3 その立派な身なりの人に特別に目を留めて、「あなたは、こちらの席にお掛けください」と言い、【貧しい人】には、「あなたは、そこに立っているか、わたしの足もとに座るかしていなさい」と言うなら、
▼ヤコ二6 だが、あなたがたは、【貧しい人】を辱めた。富んでいる者たちこそ、あなたがたをひどい目に遭わせ、裁判所へ引っ張って行くではありませんか。
▼バルナバの手紙 二〇2 
▼ディダケー 五2 
(c)名詞コスモス〈世〉の与格と共に、「世が判断するところでは貧しい者たち」
▼ヤコ二5 わたしの愛する兄弟たち、よく聞きなさい。神は世の【貧しい人たち】をあえて選んで、信仰に富ませ、御自身を愛する者に約束された国を、受け継ぐ者となさったではありませんか。
(d)動詞ディドーミ〈与える〉の間接目的語として使われ、「貧しい人々に施す」
▼マタ一九21 イエスは言われた。「もし完全になりたいのなら、行って持ち物を売り払い、【貧しい人々】に施しなさい。そうずれば、天に富を積むことになる。それから、わたしに従いなさい。
▼マコ一〇21 イエスは彼を見つめ、慈しんで言われた。「あなたに欠けているものが一つある。行って持っている物を売り払い、【貧しい人々】に施しなさい。そうすれば、天に富を積むことになる。それから、わたしに従いなさい。」 
▼ルカ一九8 しかし、ザアカイは立ち上がって、主に言った。「主よ、わたしは財産の半分を【貧しい人々】に施します。また、だれかから何かだまし取っていたら、それを四倍にして返します。」
▼ルカ一八22 これを聞いて、イエスは言われた。「あなたに欠けているものがまだ一つある。持っている物をすべて売り払い、【貧しい人々】に分けてやりなさい。そうすれば、天に富を積むことになる。それから、わたしに従いなさい。」
▼ヨハ一三29 ある者は、ユダが金入れを預かっていたので、「祭りに必要な物を買いなさい」とか、【貧しい人】に何か施すようにと、イエスが言われたのだと思っていた。
▼ディダケー一三4
▼マタ二六9 高く売って、【貧しい人々】に施すことができたのに。」
▼マコ一四5 この香油は三百デナリオン以上に売って、【貧しい人々】に施すことができたのに。」そして、彼女を厳しくとがめた。
▼ヨハ一二5 「なぜ、この香油を三百デナリオンで売って、【貧しい人々】に施さなかったのか。」
(β)ときには、この人たちの経済上の不遇さを指すだけではない。彼らは虐げられ、失意のうちにあるので、特に神の助けを必要としていて、まもなく助けを受けられると期待してもよい、という意味合いもある
(a)福音は彼らに宣べ伝えられる
▼マタ一一5 目の見えない人は見え、足の不自由な人は歩き、らい病を患っている人は清くなり、耳の聞えない人は聞こえ、死者は生き返り、【貧しい人】は福音を告げ知らされている。  
▼ルカ四18 主の霊がわたしの上におられる。
    【貧しい人】に福音を告げ知らせるために、
   主がわたしに油を注がれたからである。
    主がわたしを遣わされたのは、
    捕らわれている人に解放を、
    目の見えない人に視力の回復を告げ、
    圧迫されている人を自由にし、 
▼ルカ七22 それで、二人にこうお答えになった。 「行って、見聞きしたことをヨハネに伝えなさい。目の見えない人は見え、足の不自由な人は歩き、らい病を患っている人は清くなり、耳の聞こえない人は聞こえ、死者は生き返り、【貧しい人】は福音を告げ知らされている。
▼1クレメンス 五二2
▼ポリュカルポスの手紙二3
(γ)明らかに転義した意味で
(a)「前置詞エン〈において〉+名詞プネウマ〈霊・精神〉」を伴って、
▼マタ五3 「心の【貧しい人々】は、幸いである、
天の国はその人たちのものである。
(b)ラオデキアの教会の天使は自分では「わたしは富んでいる、裕福である」と語るが、「プトーコス」と呼ばれる
▼黙三17 あなたは、『わたしは金持ちだ。満ち足りている。何一つ必要な物はない』と言っているが、自分が惨めな者、哀れな者、【貧しい者】、目の見えない者、裸の者であることが分かっていない。
▼1クレメンス 一五6

(2)貧しい・惨めな・乞食のような・無力な
(a)名詞ストイケイオン〈初歩・諸霊〉を修飾して
▼ガラ四9 しかし、今は神を知っている、いや、むしろ神から知られているのに、なぜ、あの無力で【頼りにならない】支配する諸霊の下に逆戻りし、もう一度改めて奴隷として仕えようとしているのですか。