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skandalon
スカンダロン
落とし穴・妨げ・つまずき
A・年間・22
(1)落とし穴
(a)パギス〈罠〉と共に、象徴的に
▼ロマ一一9 ダビデもまた言っています。「彼らの食卓は、自分たちの罠となり、網となるように。【つまずき】となり、罰となるように。
(2)「罪への誘い」、あるいは「離反させたり、偽りの信仰などに導く誘惑」
(a)一般的に
▼マタ一八7 世は【人をつまずかせる】から不幸だ。【つまずき】は避けられない。だが、【つまずき】をもたらす者は不幸である。
▼ルカ一七1 イエスは弟子たちに言われた。「【つまずき】は避けられない。だが、それをもたらす者は不幸である。
▼バルナバの手紙 四9
(b)形容詞テレイオス〈終わりに達した〉が修飾して、「最後の誘惑」
▼バルナバの手紙 四3
(c)「動詞バッロー〈投げる〉+対格形+準前置詞エノーピオン〈前に〉+人物の属格」で、「ある人物の前につまずきを投げる=ある人物を罪に誘う」
▼黙二14 しかし、あなたに対して少しばかり言うべきことがある。あなたのところには、バラムの教えを奉ずる者がいる。バラムは、イスラエルの子らの前に【つまずきとなるもの】を置くようにバラクに教えた。それは、彼らに偶像に献げた肉を食べさせ、みだらなことをさせるためだった。
(d)対格形で動詞ポイエオー〈作る〉の目的語となって、「誘惑の原因となる」
▼ロマ一六17 兄弟たち、あなたがたに勧めます。あなたがたの学んだ教えに反して、不和や【つまずき】をもたらす人々を警戒しなさい。彼らから遠ざかりなさい。
(e)「動詞ティセーミ〈置く〉+人物の与格+単数・対格形」で、「誰かに対してつまずきを置く=誰かを罪へと誘う」
▼ロマ一四13 従って、もう互いに裁き合わないようにしよう。むしろ、つまずきとなるものや、【妨げとなるもの】を、兄弟の前に置かないように決心しなさい。
[与格形の代わりに、「前置詞カタ〈に対して〉+属格」で]
▼1クレメンス 三五8
(f)誰かある人物がスカンダロンと呼ばれる
[イエスがペトロをスカンダロンと呼ぶ]
▼マタ一六23 イエスは振り向いてペトロに言われた。「サタン、引き下がれ。あなたはわたしの【邪魔をする者】。神のことを思わず、人間のことを思っている。」
[名詞プセウダデルフォス〈偽兄弟〉と並記されて]
▼ポリュカルポスの手紙 六3
注ーこのスカンダロンには、「他の者を誘惑して罪を犯させる者」という訳が最適であろう。
(f)イエスを信じる決断ができない者にとって、イエスはスカンダロンである。旧約聖書での比喩的な用例にならって、イエスは「妨げの岩」である。
[属格形でペトラー〈岩〉を限定して]
▼ロマ九33 「見よ、わたしはシオンに、つまずきの石、【妨げ】の岩を置く。これを信じる者は、失望することがない」と書いてあるとおりです。
▼1ペト二8 また、「つまずきの石、【妨げ】の岩」なのです。彼らは御言葉を信じないのでつまずくのですが、実は、そうなるように以前から定められているのです。
(3)「不快感を与えるもの、対立を引き起こすもの、憤慨とか不同意が向けられる対象」
(a)汚点・欠陥
▼1ヨハ二10 兄弟を愛する人は、いつも光の中におり、その人には【つまずき】がありません。
(b)十字架は神を信じない者には「憤慨の的」
▼イグナティオスの手紙
エフェソのキリスト者へ 一八1
(c)十字架につけられたキリストはユダヤ人にはスカンダロンである
▼1コリ一23 わたしたちは、十字架につけられたキリストを宣べ伝えています。すなわち、ユダヤ人には【つまずかせるもの】、異邦人には愚かなものですが、
(d)名詞スタウロス〈十字架〉の属格形を伴って、「十字架のつまずき」(十字架の宣教に対して反発を引き起こすところのもの)
▼ガラ五11 兄弟たち、このわたしが、今なお割礼を宣べ伝えているとするならば、今なお迫害を受けているのは、なぜですか。そのようなことを宣べ伝えれば、十字架の【つまずき】もなくなっていたことでしょう。
(e)対格形で動詞シュッレゴー〈集める〉の目的語となって、「つまずきとなるものを集めるだろう」
▼マタ一三41 人の子は天使たちを遣わし、【つまずきとなるもの】すべてと不法を行う者どもを自分の国から集めさせ、
注ー事物を指すと取るこの解釈は、この箇所の基となっているゼファ一3に符号する。しかしマタイはこの語に続いて、「そして不法を行う者たちを」と述べていることから考えると、人間を意味しているとも取れそうである。