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splanchnon
  スプランクノン
   はらわた・心・憐れみ

C・年間・10


(1)複数形で(新約聖書では常に)
(α)字義通りに、「内臓、はらわた」
▼使一18 ところで、このユダは不正を働いて得た報酬で土地を買ったのですが、その地面にまっさかさまに落ちて、体が真ん中から裂け、【はらわた】がみな出てしまいました。
(β)転義して、感情の座を表し、ヨーロッパの言語の「心」にあたる(新約聖書および使徒教父文書では、多くの場合、愛、同情、憐れみの源泉である)
(a)次のような名詞と一緒に
[「憐れみ〈エレオス〉」の属格と共に]
▼ルカ一78 これは我らの神の憐れみの【心】による。この憐れみによって、高い所からあけぼのの光が我らを訪れ、
[「憐れみ〈オイクティルモス〉」の属格と共に]
▼コロ三12 あなたがたは神に選ばれ、聖なる者とされ、愛されているのですから、憐れみの【心】、慈愛、謙遜、柔和、寛容を身に着けなさい。
[「憐れみ〈オイクティルモス〉」と共に]
▼フィリ二1 そこで、あなたがたに幾らかでも、キリストによる励まし、愛の慰め、″霊″による交わり、それに【慈しみ】や燐れみ【の心】があるなら、
(b)前置詞エイス〈対して〉によって憐れみが向けられる対象が示される
▼2コリ七15 テトスは、あなたがた一同が従順で、どんなに恐れおののいて歓迎してくれたかを思い起こして、ますますあなたがたに【心】を寄せています。
(c)前置詞エン〈おいて〉と共に
▼2コリ六12 わたしたちはあなたがたを広い心で受け入れていますが、あなたがたは自分で【心】を狭くしています。
  注ー使用一回
(d)次のような動詞の目的語として
[動詞エコー〈持つ〉]
▼1クレメンス 二三1
[動詞クレイオー〈閉じる〉]
▼1ヨハ三17 世の富を持ちながら、兄弟が必要な物に事欠くのを見て【同情しない】者があれば、どうして神の愛がそのような者の内にとどまるでしょう。
[動詞アナパウオー〈活気づける〉]
▼フィレ20 そうです。兄弟よ、主によって、あなたから喜ばせてもらいたい。キリストによって、わたしの【心】を元気づけてください。
▼フィレ7 兄弟よ、わたしはあなたの愛から大きな喜びと慰めを得ました。聖なる者たちの【心】があなたのお陰で元気づけられたからです。
      (受動態)
[動詞エンステルニゾー〈蓄える〉]
▼1クレメンス 二1
(γ)感情そのものを指して、「好意、愛情」
(a)一般的に
▼イグナティオスの手紙
       フィラデルフィアのキリスト者へ 十1
(b)キリスト・イエスの「愛」
▼フィリ一8 わたしが、キリスト・イエスの【愛の心】で、あなたがた一同のことをどれほど思っているかは、神が証ししてくださいます。
(c)愛の対象を指して
▼フィレ12 わたしの【心】であるオネシモを、あなたのもとに送り帰します。
(または、(β)の意味で「私の心そのもの」)

(2)単数形で(教父文書で)、「慈しみ、愛」
▼ヘルマスの牧者第九のたとえ 二四2