B年主の公現主日
主の栄誉が宣べ伝え同じ約束にあずかる者となりひれ伏して幼子を拝む

第一朗読
イザヤ60章1―6節

1起きよ、光を放て。
 あなたを照らす光は昇り
 主の栄光はあなたの上に輝く。
2見よ、闇は地を覆い
 暗黒が国々を包んでいる。
 しかし、あなたの上には主が輝き出で
 主の栄光があなたの上に現れる。
3国々はあなたを照らす光に向かい
 王たちは射し出でるその輝きに向かって歩む。
4目を上げて、見渡すがよい。
 みな集い、あなたのもとに来る。
 息子たちは遠くから
 娘たちは抱かれて、進んで来る。
5そのとき、あなたは畏れつつも喜びに輝き
 おののきつつも心は晴れやかになる。
 海からの宝があなたに送られ
 国々の富はあなたのもとに集まる。
6らくだの大群
 ミディアンとエファの若いらくだが
 あなたのもとに押し寄せる。
 シェバの人々は皆、黄金と乳香を携えて来る。
 こうして、主の栄誉が宣べ伝えられる。
第一朗読 イザヤ60章1―6節

 栄光・カーヴォード

 カーヴォードの語源はカーヴェード〈重い状態にある〉です。他人が羨むような人間の「重さ(栄光・誉れ)」とは、まずは「富や財宝」だからでしょうか、カーヴォードの最初の意味は「富・財宝」です。次に、人物や事物の外面に現れる「そのものの重みや輝き」を表します。カーヴォードの使用例の半数がこの意味で用いられています。ダビデやソロモンなどのイスラエルの王には、富や財宝のほかに「名誉」も与えられます(王上3:13)。また、富には「輝き」があり(エス5:11)、王座にも「栄光」があります(サム上2:8)。しかし、地上のものの栄光や美しさは消えてゆきますが、神の「栄光」は変わることがありません。カーヴォードは神の「栄光」を表すのに約45回も用いられています。
 人は神の「栄光」を賛美し、祈り求めることができます(詩108:6、145:5)。神は人と共に住み、その輝きを人に知らせようと望んでいます。しかし、それが現実となるためには、神の聖性を示す驚くべき業に人が目を留め、信仰と従順によって、それを受け入れる必要があります。神への信頼がうすれた捕囚後の時代に、第三イザヤは「主の栄光」が現れると力強く宣言します。
 

 

第二朗読
エフェソの信徒への手紙 3章2―3・5―6節

2 あなたがたのために神がわたしに恵みをお与えになった次第について、あなたがたは聞いたにちがいありません。
3 初めに手短に書いたように、秘められた計画が啓示によってわたしに知らされました。
5 この計画は、キリスト以前の時代には人の子らに知らされていませんでしたが、今や霊≠ノよって、キリストの聖なる使徒たちや預言者たちに啓示されました
6 すなわち、異邦人が福音によってキリスト・イエスにおいて、約束されたものをわたしたちと一緒に受け継ぐ者、同じ体に属する者、同じ約束にあずかる者となるということです。
第二朗読 エフェソの信徒への手紙 3章2―3・5―6節

 啓示する・アポカリュプトー

 この語は「覆いを取って見せる・明らかにする」を意味します。
 まず一般的に、「覆われているもので現されないものはなく、隠されているもので知られずに済むものはない」(ルカ12:2)というように、隠された事柄を「はっきりさせる」という意味で用いられます。 次に、超自然的秘密を神が啓示することを表します。「シモン・バルヨナ、…あなたにこのことを現したのは、人間ではなく、わたしの天の父なのだ」(マタ16:17)とイエスは述べて、シモンの信仰告白は神によることを示しています。
 また終末論的な意味で、特定の人物や状況を現すことに使われます。例えば、「人の子が現れる日にも、同じことが起こる」(ルカ17:30)というように、キリストの再臨を表すのに用いられます。
 今週の朗読では、この語が5節に用いられ、3節では名詞形のアポカリュプシス〈啓示〉が用いられています。敵意の壁に阻まれた異邦人とユダヤ人が「一緒に」約束にあずかるという神の秘められた計画は神が明らかにすることによって、人が知るところとなりました。
 

 

今週の福音
マタイ2章1―12節

1   イエスは、ヘロデ王の時代にユダヤのベツレヘムでお生まれになった。そのとき、占星術の学者たちが東の方からエルサレムに来て、
2   言った。「ユダヤ人の王としてお生まれになった方は、どこにおられますか。わたしたちは東方でその方の星を見たので、拝みに来たのです。」
3   これを聞いて、ヘロデ王は不安を抱いた。エルサレムの人々も皆、同様であった。
4   王は民の祭司長たちや律法学者たちを皆集めて、メシアはどこに生まれることになっているのかと問いただした。
5   彼らは言った。「ユダヤのベツレヘムです。預言者がこう書いています。
6  『ユダの地、ベツレヘムよ、
     お前はユダの指導者たちの中で
     決していちばん小さいものではない。
     お前から指導者が現れ、
     わたしの民イスラエルの牧者となるからである。』」
7   そこで、ヘロデは占星術の学者たちをひそかに呼び寄せ、星の現れた時期を確かめた。
8   そして、「行って、その子のことを詳しく調べ、見つかったら知らせてくれ。わたしも行って拝もう」と言ってベツレヘムへ送り出した。
9   彼らが王の言葉を聞いて出かけると、東方で見た星が先立って進み、ついに幼子のいる場所の上に止まった。
10 学者たちはその星を見て喜びにあふれた。
11 家に入ってみると、幼子は母マリアと共におられた。彼らはひれ伏して幼子を拝み、宝の箱を開けて、黄金、乳香、没薬を贈り物として献げた。
12 ところが、「ヘロデのところへ帰るな」と夢でお告げがあったので、別の道を通って自分たちの国へ帰って行った。
今週の福音 マタイ2章1―12節

 占星術の学者・マゴス

 この語マゴスは多様な意味を持っており、ゾロアスター教の秘儀を司る者とか、天文についての知識を持ち、星占いを行う者とか、魔術師を表す言葉でした。新約聖書では6回使われており、新共同訳は「占星術の学者」(マタ2:1、7、16)、「学者」(マタ2:16)、「魔術師」(使13:6、8)と訳しています。
 後世のキリスト教伝承や美術の中で、この人たちの姿はいっそう拡大されてゆきました。まずこの人たちは王であったとされますが、それはイザヤ60章とか詩72:10「シェバやセバの王が貢ぎ物を納めますように」(答唱詩編を見よ)からの影響です。
 また彼らは三人であったとされますが、これは幼子に差し出した贈り物が三つ(黄金・乳香・没薬)だったからです。最後には彼らに名前までつけられることになります。西方教会では、その名はカスパー、バルタザル、メルキオルとされ、カスパーは黒人とされ、人種の違う異邦人世界の代表者としてキリストのもとに来て礼拝した人と理解されました。
 このような増幅が行われたことに示されるように、今週の福音の物語はヨーロッパ世界で大事にされてきました。



 

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